実用化されなかったけれど、個人で特許を取った話
実用化されなかったけど、個人で特許を取った話

― 現場の「これ、だるくない?」を真に受けた結果 ―
導入|「これ、なくなったら楽なんだけどね」
すべての始まりは、
現場で聞いたこの一言でした。
「これ、毎回この作業なかったら楽なんだけどね」
はい、よくあるやつです。
大体こういうのは、
- 仕方ないよね
- そういうもんだよね
で流されます。
でも私は、なぜかそれを
真に受けてしまいました。
まずやったこと|ちゃんと現実的に考えた(えらい)
いきなり発明!
…ではありません。
まずは普通に考えました。
- 既存製品で代替できないか
- 使い方を工夫すればどうにかならないか
- 運用で吸収できないか
結論。
無理。どうやっても無理。
努力とか工夫とかでどうにかなる話じゃありませんでした。
問題の正体|使い方じゃなくて「中身」じゃない?
ここで、嫌な方向に頭が回り始めます。
- 使い方が悪いんじゃない
- 手順の問題でもない
これ、製品の性質そのものが原因では?

という考えです。
エンジニアあるあるですが、
この時点でだいぶ面倒な人になっています。
思いついたこと|中身、いじれない?
そこで出てきたのが、
- 主成分の組成比率を
- あえて部分的に偏らせる
というアイデアでした。
はい、
「それメーカー案件では?」
というやつです。
相談|メーカーに言ってみた(ダメ元)
一応、筋は通しておこうと思い、
メーカーの担当者に相談しました。
返答はとても大人。
- 「コスト的に厳しいですね」
- 「量産は現実的じゃないです」
ですよね。
知ってました。
しかし|続きがあった
ここで話は終わらなかったんです。
担当者が、少し間を置いて言いました。
「ただ……このアイデア、特許は取った方がいいですよ」
内心、
え?
特許?こんなものが?
ってなりました。
決断|作られなくても、残るならいいか
その一言で、
考え方が変わりました。
- 製品になるかどうか
ではなく - 誰も考えていないかどうか
実用化は無理でも、
「これはあなたの発想だ」と言える形で残る
それなら、やってみようと。
結果|特許、取りました(個人で)
というわけで、
- 会社でもなく
- チームでもなく
個人で特許を取得しました。
製品?
出てません。
売上?
ゼロです。
それでも|これは失敗じゃない
正直に言います。
- 実用化されてません
- 何の役にも立ってません
でもこの経験、
めちゃくちゃ良かった
です。
理由はシンプル。
- 現場の声から考えた
- 既存の選択肢を全部捨てた
- 「それは無理」と言われても、思考を止めなかった
特許って何だったのか|正解じゃなく「到達点」
この経験で分かりました。
特許は、
- 儲かる保証
- 実用化の証明
ではありません。
「ここまで考え切った」という到達点
です。
そこに辿り着けたのは、
たぶん自分だけでした。
技術者として残ったもの|厄介な癖
この件以降、
完全に癖がつきました。
- 「仕様だから」で止まれない
- 「既存製品だから」で諦められない
- 「無理ですね」で一旦考え直す
非常に面倒な人材です。
でも、
それでいいと思っています。
まとめ|世に出なくても、消えないものがある
この特許は、
- 市場を変えていません
- 会社も救っていません
それでも、
自分の頭で、誰もいない場所まで行った
という感覚は、
今もはっきり残っています。
現場の「だるいな」を
本気で考えてしまう人には、
たまにこういうルートもあります。
おまけ|この話が刺さる人
- 「それ無理だよ」で話が終わりがちな人
- 仕様を疑うと煙たがられる人
- 実用化されないアイデアを抱えている人
たぶんあなた、
ちょっとだけ考えすぎなだけです。