【業務自動化】早朝出社が前提だった売上集計を、VBA1本で壊した話
早朝出社が前提だった売上集計を、VBA1本で壊した話
はじめに|10時の会議のために、担当者が朝5時に起きていた
月次の売上確認会議は毎月10時に行われていました。
それに間に合わせるため、担当者は早朝から出社し、ログファイルを手作業で整形し、Excelに貼り付け、関数を駆使して集計し、最後にダブルチェックを行う、それが「当たり前の仕事」でした。
誰も手を抜いていませんでした。
むしろ、皆が責任感を持って仕事をしていました。
それでも私は、この作業サボりたいと思っていました。
背景|非効率の原因は「技術不足」ではなかった
やっていたこと
- 生ログ(形式不揃い)を手作業で整形
- Excelへ貼り付け
- 複雑な関数による集計
- 人の目によるダブルチェック
- 当日10時の会議に間に合わせる
よくある誤解
- Excelだから遅い
- ログが汚いから仕方ない
- システム化するほどでもない
実際の問題は、どれでもありません。
本当の問題|「人が早起きすれば解決する」という設計
この業務が改善されなかった理由は単純でした。
- 誰も「これはおかしい」と言わなかった
- 会議時刻が絶対だった
- 人が頑張ることで回ってしまっていた
つまり、
人の労力で帳尻を合わせる設計
が、無意識のうちに固定化されていたのです。
転機|「誰もコーディングできない」からこそできたこと
この作業の担当チームには、プログラミングができる人がいませんでした。
また外部ツールの導入や新規システム化は現実的ではありません。
そこで選んだのが Excel VBA でした。
- 既存のExcelをそのまま使える
- 作業手順と環境を変えなくていい
- 保守を引き継げる可能性がある
最先端技術へのリプレイスではなく、現場が受け入れられる技術を選びました。
また、とりあえずできる人にやってもらおうかという空気であったため反対意見は特にありませんでした。
実施|「人がやっていた作業」をそのまま機械に任せる
やったことはシンプルです。
- ログの整形ルールをコードに落とす
- Excel貼り付けと集計を自動化
- ダブルチェックはお互いの作業結果のdiffをとることに変更
結果、2時間弱かかっていた作業時間は10分かからなくなりました。
重要なのは、作業の手順はほとんど変えていないという点です。
成果|変わったのは時間だけではなかった
- 朝の緊張感がなくなった
- ミスへの不安が減った(実際に集計ミスも減った)
- 作業が「属人業務」ではなくなった
そして何より、
「もっと楽なやり方があるんじゃないのか?」
と考える空気が生まれました。
考察|生成AIがあっても自動化は起きない
今なら、生成AIを使えば自動化するためのコードは簡単に実装できます。
しかし、AIがあってもこの改善は自然には起きません。
なぜなら、
- この作業を「人がやるものだ」と誰かが決めていたから
- 会議のために人が犠牲になる構造が疑われていなかったから
技術の問題ではなく、問いの問題だったからです。
まとめ|壊したのはExcelではなく「前提」
この改善で壊したのは、
- Excel
- 手作業
- ダブルチェック
以前に
「人が早起きすることで成り立つ業務」という前提でした。
もしあなたの職場にも、
- 会議のためだけに発生する作業
- 人が頑張る前提で維持されている業務
があるなら、それは改善の余地があります。
必要なのは新しい技術ではなく、
「これは本当に人の仕事か?」
という、もっとサボれるはずだという気持ちだと思います。